とらこ氏1歳8カ月。近ごろ単語が少しずつ出るように
なり、絵本を指さしては「ぅわんわん」「にゃーにゃー」
「ちょうちょ」などと元気に声をあげています。
とらこに、どんなふうに絵本を読んであげば良いか…
そんなことを考えていた近ごろ、キャリア・マム
から「絵本アプリ『まり』であそぼう」という
イベントの案内をもらいました。
▼キャリア・マム
http://www.c-mam.co.jp/
「絵本アプリ『まり』」は、詩人の谷川俊太郎さん・
絵本作家の広瀬弦さんによるベストセラー絵本「まり」
にミュージシャンの原田郁子さんが朗読とBGMを
手がけたiPhone/iPadアプリ。
今回のイベントは、紙の絵本の原作者お二人とアプリ
版に参加した原田さんの制作秘話が聞けるイベント
でした。
というわけで、3人のお話を中心にレポートします。
ちょっと長くなりますが、貴重なインタビューなので
ぜひ読んでみてください。
もともと紙の絵本「まり」は出版元の日本出版販売
株式会社が「赤ちゃん向け絵本を作りたい」と
詩人の谷川俊太郎さんに相談してできた
「あかちゃんから絵本」シリーズ1作目の作品。
当時を振り返る谷川さんによると「赤ちゃん向けの
絵本は難しいよ。しつけなど、大人の下心みたいな
ものを捨てて作ろう」と考えて生まれたシリーズ
だそう。
たしかにあかちゃんって、色だったり形だったり、
親の想像もつかないものが好きだったりします。
「まり」もあかちゃんが興味を持つ絵柄と色、声を
出して読んだときの反応が良いのです。
そんな「まり」がアプリに。とらこが生まれてから
私もチェックしていますが、iPhone/iPadの絵本アプリ
は毎年少しずつ増えている印象です。
「まり」は“よむ”と“あそぶ”2つのモードが
楽しめるアプリ。どんな作りになっているのでしょう。
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大人と子どもの世界は違う
朗読とBGMを担当した原田郁子さんの音作り秘話
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「よむ」モードではクラムボンなどでもご活躍の
原田郁子さんの朗読とBGMが楽しめます。「ころん」
「ぷか」といった谷川俊太郎さんならではのクスっと
笑ってしまうような文が、原田郁子さんのほんわか
とした声で読まれます。
音作りの様子について、原田さんは「最初の録音では
朗読が早すぎた。大人と子どもの世界は違うと思った。
そこで携帯電話に入っていた知り合いの子どもの写真
を見ながら録音することにした」といいます。
「BGMは、はじめは歌でと考えていたがアプリの動き
を見るうちに、子どもがどこで終わりにしても良いよう、
音楽にすることにした。お茶碗を箸で叩くような音を
使って、リズミカルに表現した」と話していました。
そんな原田さんの音作りについて谷川さんは
「音も声も控えめなところが良いよねぇ」とコメント。
耳に心地よい朗読とBGMは大人もいやされるのでした。
4つの「まり」と自由にあそぼう
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アプリ用に「まり」を追加で描きおろし
広瀬弦さんのコダワリとは
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「あそぶ」モードでは、紙の絵本に登場する黄色の
「まり」以外に3つのまりが描き下ろされ、好きな
色や形の「まり」を転がしたり引っ張ったりと自由に
動かすことができます。
広瀬さんは「追加で描くまりは、黄色のまりとは
表情を変えよう」と提案し作画、中でも一番
こだわったのは色だそう。
デジタルで表現される色を、実に5回も修正して
完成したアプリ。谷川さんも「4つのまりの、表情
の違いが良いじゃない」と紙の絵本からデジタル
になって仲間が増えた「まり」の世界に太鼓判を
押します。
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読んで、さわって
3人の作者とデモンストレーション
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今回のイベントの会場は青山のクレヨンハウス
でした。地下1階のカフェスペースに親子連れが
満員。アプリを実際に体験してみようということ
で、まず「よむ」モードから、原田郁子さんの
生の朗読を聞きましょうという司会者の案内に、
原田さんから「せっかくなので皆さんで読みましょう。
わたしのあとに続いて」と提案があり、会場の
お母さんだけでなくお子さんも「まり」「ころん」
とみんなで楽しく声をあげました。
次に「あそぶ」モードでは作画担当の広瀬さんが
iPadでまりを動かし、その動きに文を担当した
谷川さんが即興でアテレコをし、みんなで聞く
という、とても貴重な体験をしたのです。
スクリーンに映し出される「まり」の様子に
興味シンシン!
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電子版の絵本について
谷川俊太郎さんが思うこと
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司会者から、こんな質問がありました。
「今後、デジタル絵本が普及することによって、
親から子への読み聞かせが減るのでは?」
絵本アプリの多くは、朗読をしてくれて、子ども
が一人で遊ぶこともできる作りになっています。
それに対し、谷川さんは「心配しても仕方ない。
電子絵本はまだ未発達の分野。紙の絵本と違って、
いくらでも枝分かれして物語が進んでいくところが
面白い。むかしレーザーディスクが登場したころ、
デジタル絵本に挑戦したことがあったが、当時は
技術が追いつかなかった。これからは教育にも
使われてゆくと良いと思う」といいます。
そして力強く「紙の絵本はなくならない」とも。
原田さんも「デジタルに表現できたら面白いこと、
いろいろな可能性がある。電子絵本になっても、
親と子が一緒になって遊ぶのが良いと思う」
と賛同。
デジタル絵本についても「ウエルカム」という
のが三人の共通した意識のようです。
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多くの絵本を手がける、谷川俊太郎さんに聞く
読み聞かせのコツ
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では実際に、親が子にどう読んであげたら良い
のでしょう。谷川さんは「スキンシップを取り
ながら読むこと」とアドバイスをくれました。
また、「読む人が夢中になって楽しんでいると
子どもも喜ぶ。抱っこして同じ目線の先に本を
置くことが大事。できれば内容を暗記して、
途中からストーリーをでっち上げたりすると、
より楽しい」と、読む側も想像力を働かせる
工夫が必要だとも。
たしかに、子どもは親の様子をよく見ています。
親が楽しそうにしているとワクワクとした表情で
寄ってくるし、読み聞かせのときも、そうした
演出が必要なのですね。
多くの絵本を執筆・翻訳してこられた谷川さんの
言葉に、なるほどなぁと、わたしはウンウン
うなずくのでした。
おやつ。「クレヨンハウスオリジナルクッキー」
と「梅とはちみつのジュース」
さて、とらこはというと、終始おとなしく
していました。というのもイベントが15時
半からだったので、ちょうどおやつの時間に
なるようにしたのです。
会場でテーブルつきの幼児イスを用意して
もらい、そこに座らせて持参したバナナや
おせんべいなどを食べさせました。
食べるのに飽きたかなと思ったら、すかさず
カメラのレンズキャップを渡したり、ペンを
持たせたり。興味のあるものを用意しておく
のが良さそうです。
ただ、そんな心配もいらないほど、スクリーン
に映し出されるアプリの様子を食い入るように
見つめていた とら。
実際にiPhoneでアプリを体験させてもらうと、
興味を持って手を伸ばしていたのが印象深かった
です。子どもは正直で、楽しいものはわかるのよね。
最後に、アプリの紹介動画があったのでYouTubeを
貼っておきます。
ほのぼのした朗読と音楽、「まり」の色と動きに
大人でも癒されること間違いなし。長く楽しめる
アプリだなぁと思いました。
まり - NIPPON SHUPPAN HANBAI INC.
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